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不動産BPO

賃貸管理業務におけるBPOとは?

2026.09.16

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2026.09.16不動産BPO読了目安:約10分

賃貸管理業務のBPOでは、外部へ任せる範囲を広げればよいとは限りません。大切なのは、どの業務を外に出し、どの判断や顧客接点を自社に残すのかを設計することです。本コラムでは、電話対応や修繕業務を例に、作業の外注と業務プロセスの外部化の違い、そして管理会社自身が担うことに価値のある仕事について考えます。

01外に出す業務と、あえて残す業務を考える

賃貸管理におけるBPOとは、入居者対応、修繕、更新、解約などの業務プロセスの一部または全部を、外部の事業者へ委託することです。 ここで大切なのは、できるだけ多くの業務を外部化することではありません。 どこまでを外に出し、どこからを自社で担うのか。 その境界を、業務量だけでなく、判断権限、管理品質、顧客対応、責任分界まで含めて考えることが重要です。

賃貸管理業界でも、「BPO」という言葉を目にする機会が増えてきました。 コールセンター、事務代行、業務委託、アウトソーシング。これまで異なる名称で提供されてきたサービスが、BPOという言葉で説明されることも珍しくありません。

BPOは、Business Process Outsourcingの略です。 では、ここでいう「ビジネスプロセス」とは何でしょうか。 難しく考える必要はありません。

仕事が始まってから、必要な処理を経て、完了するまでの一連の流れ。

これがビジネスプロセスです。

電話を取る、データを入力する、案内を送る。そうした一つひとつの作業だけではなく、その前後につながる仕事まで含めて捉えます。

02賃貸管理のビジネスプロセスとは

賃貸管理も、こうした「仕事の流れ」の組み合わせで成り立っています。 例えば修繕であれば、入居者から不具合の連絡を受け、状況を確認し、対応方針を判断し、必要に応じて業者を手配し、日程を調整し、完了を確認する。 更新であれば、対象者を確認し、案内し、回答を回収し、条件を確認し、必要な手続きを行って更新を完了する。

募集、申込、契約、入居、修繕、更新、解約。

どの業務も、単発の作業ではなく、複数の工程がつながったプロセスです。 だからこそBPOを考える際には、「何を外注するか」だけではなく、どこからどこまでの仕事の流れを外に出すのかを見る必要があります。

一方で、範囲を広げれば広げるほど効果が高まるとも限りません。 外部へ任せる範囲が広がれば、どこまで任せるのか、どこから自社へ戻すのかも明確にする必要があります。


03電話を外に出しても、仕事が減るとは限らない

例えば、入居者から「エアコンの効きが悪い」と連絡が入ったとします。

外部のコールセンターが電話を受け、その内容を管理会社へ報告する。 担当者は電話に出る必要がなくなり、業務中断も減ります。営業時間外に受付できることにも価値があります。

一方、その後に管理会社の担当者が改めて入居者へ連絡し、症状を確認し、契約や設備区分を調べ、業者を手配し、日程を調整し、完了まで確認するのであれば、業務プロセスの多くは社内に残っています。 場合によっては、外部から届いた報告を読み、状況を理解し直し、もう一度入居者へ連絡するという工程が加わります。

その結果、 「電話は減った。しかし、思っていたほど業務負荷は減らなかった」 ということも起こり得ます。 これは必ずしもサービスの良し悪しではありません。 電話による業務中断を減らすことが目的なら、受付だけでも意味があります。 一方、担当者の業務量そのものを減らしたいのであれば、その先のプロセスまで見なければ、期待とのずれが生じます。

目的と委託範囲が合っているか。

まず確認したいのは、そこです。

プロセス


04「一次対応まで」は悪いことなのか

一次対応までだから、不十分というわけではありません。

営業時間外の連絡を受ける。 問い合わせ内容を整理する。 緊急度を判定する。 担当者への電話による業務中断を減らす。

こうした目的であれば、一次対応だけでも十分な効果があります。 むしろ、必要な情報や権限を持たない外部事業者が、その先まで無理に判断する方がリスクになることもあります。

「一次対応まで」が問題なのではありません。なぜ、そこで業務を区切っているのかが重要です。

そこから先を管理会社が担うことに意味があるのか。 それとも、ベンダー側がそこまでしか対応できないため、結果として仕事が管理会社へ戻っているのか。 同じ「一次対応まで」でも、この二つは意味が違います。

また、一次対応であっても、後工程で使える情報が十分に整理されていなければ、管理会社側で聞き直すことになります。 一次対応の価値は、単に電話を受けたかどうかではなく、その後の業務につながる形で情報を引き渡せるかどうかにもあります。


05「作業」を外に出すのか、「プロセス」を外に出すのか

修繕対応で考えてみます。

電話受付だけを委託する。 これは、一つの作業を外に出した状態です。

一方で、受付後の状況確認、緊急度の判断、必要情報の確認、業者手配、日程調整、進捗確認までを一連の流れとして外部で処理する。 こちらは、より広い業務プロセスを外に出した状態です。

どちらが優れているという話ではありません。 電話対応を減らしたいのであれば前者でもよい。 担当者の業務量そのものを減らしたいのであれば、後者まで考える必要がある。 その違いです。

もちろん、修繕には管理会社の判断が必要な場面もあります。 設備の所有区分。 費用負担。 オーナー承認。 契約条件。 すべてを外部で判断してもらう必要はありません。 判断そのものは管理会社に残し、判断に必要な情報収集や手配だけを外部へ任せることもできます。 つまり、プロセスを外に出すことと、意思決定まで外に出すことは同じではありません。

意思決定


06外部で完結すればするほど良いのか

できるだけ多くの業務を外部で完結させればよい、というわけでもありません。

賃貸管理には、管理会社自身が持つべき判断があります。 オーナーとの関係を踏まえた判断。 高額修繕の意思決定。 契約上の例外対応。 重大な入居者トラブル。 こうした領域まで無理に外へ出せば、管理品質や意思決定のコントロールを失う可能性があります。

一方で、判断を自社に残すことと、その前後の作業まで自社で抱えることは別です。 例えば高額修繕でも、現地情報の整理、見積取得、比較資料の作成までは外部化できるかもしれません。

重要なのは、社内へ戻る案件をなくすことではなく、戻すべき案件だけが戻ってくる状態をつくることです。

外部で何件完結したかだけではなく、 どの案件を自社へ戻し、なぜ戻したのか。

そこまで見て初めて、BPOの境界が適切だったかを判断できます。


07あえて管理会社に残す価値

効率だけで考えれば外部化できても、管理会社自身が担うことに意味がある仕事もあります。

その一つが、現地対応です。 漏水や設備不具合、建物内の異常、近隣トラブル。 こうした場面では、専門業者に任せた方が早く、正確なこともあります。 すべての現地対応を管理会社自身が担う必要はありません。 それでも、管理会社の担当者が実際に現地へ行くことに意味がある場面は確かにあります。 入居者にとって、「管理会社の人が実際に来てくれた」ということが安心につながる。 オーナーにとっても、「自分の物件を管理会社が実際に見ている」という事実が信頼につながる。 また、現地へ行くことで、設備の劣化や共用部の状態など、当初の問い合わせとは別の問題に気づくこともあります。

現地対応には、単なる作業としての側面と、管理会社と入居者、オーナー、物件をつなぐ接点としての側面があります。 だからこそ、 「外に出せるか」 だけではなく、 「自社で行うことに意味があるか」 という視点も必要です。

訪問対応


08BPOで考えたいのは、「なぜ自社でやるのか」

BPOを検討するとき、料金、対応時間、対応件数、システム連携などの比較は欠かせません。 ただ、その前に、自社が何を減らしたいのかを整理しておく必要があります。

電話対応なのか。 事務作業なのか。 判断回数なのか。 属人化なのか。 あるいは、管理戸数が増えても人員を同じ割合で増やさずに運営できる体制をつくりたいのか。

目的によって、必要なBPOは変わります。 そして同時に、 「何を外に出すか」 だけではなく、 「なぜ、その仕事を自社に残すのか」 も考える。

電話を取ることそのものに、自社で行う意味はあるのか。 日程調整はどうか。 一方で、オーナーとの対話や、現地での対応には、自社だから生み出せる価値があるのではないか。

BPOは、管理会社の仕事をなくすためではなく、管理会社が持つべき仕事に人と時間を戻すための手段でもあります。

もちろん、BPOを導入すれば自動的に時間が生まれるわけではありません。 外部との情報連携や承認、品質管理など、新たな業務が発生することもあります。 だからこそ、導入後に本当に社内の仕事がどう変わったのかを見る必要があります。


09賃貸管理業務におけるBPOを考える

「これはBPOなのか、コールセンターなのか」 「業務委託とアウトソーシングは何が違うのか」 こうした分類も、言葉を理解するうえでは必要です。

ただ、実際にBPOを導入する管理会社にとっては、それ以上に重要な問いがあります。 このサービスを導入すると、社内のどの仕事が減るのか。 その後も残る仕事は何なのか。 なぜ、その仕事を自社が担うのか。 どの条件で、外部から自社へ案件を戻すのか。 そして、その結果として、自社が目指す運営体制に近づいているのか。 賃貸管理業務におけるBPOとは、できるだけ多くの仕事を外へ出すことではありません。

外に出す仕事と、自社に残す仕事の境界を設計すること。

その境界は、生産性やコストだけでなく、リスク、権限、管理品質、顧客体験、将来の組織体制によっても変わります。

BPOを導入したという事実より、 導入したあと、自社に何の仕事が残っているのか。 そして、その仕事を本当に自社が担うべきなのか。 BPOという言葉が広がってきた今だからこそ、一度そこから見直してみてもよいのではないでしょうか。

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